胃全摘手術後 0日目〜2日目 (10)

術後0日目

あまり覚えていない。

とりあえず、この日は絶食。

まあ、当然食べられる状態ではない。

そもそも、起き上がれない。

褥瘡防止のため、ベッド上でも体を左右に動かしたりしていたようだ。

胃全摘は、両胸の間からおへそまで、ガバッと開ける。

それをホッチキスで留めている状態。

想像するだけで恐怖。

とりあえず、ほんの少しの痛みも感じると、痛みの恐怖が体を包んでしまう。

その恐怖から逃れるために、痛み止めのボタンを押す。

夜になると悪夢を見る。

ドラえもんとキティちゃんに、両側から罵倒されてる夢とか。三途の川みたいな夢とか。 

こちらでご覧になれます。

寝てても何回も起きる。

起きても、動けない。

そんな状態で、頭の中だけは、グルグルと色んな事を考えて動いてしまう。

暗い部屋の中で横たわりながら、

私はいつまで生きることができるのか?そもそも、生たいのか? 

私の意志は無視されているかのように、

ぽんっぽんっと頭の中に勝手にそんな疑問が湧き上がってくる。

そんな事を考えたいわけじゃないから、モグラ叩きみたいにバコバコたたいても。。

自分が、生きたいか?

を考えるなんて、思ってもみなかった。

この疑問はきつかった。

でも、半分寝てるような、朦朧とした、記憶途切れ途切れの中、

子供を命懸けで守ろうとするのは私しかいないー!!

生きる!生きる!生きるーーー!!!!!

って脳味噌で叫んでいた事をうっすら覚えている。

そして、

術後1日目

座ったりとか、呼吸とか、なかなかのリハビリをしていく。

ハクションが、痛いのなんの!!!

やべ〜〜〜ハクションで死ねる。。。。って思う。

トイレも怖い。

少しでもお腹に力を入れたら、お腹が紙みたいにビリビリ破れるんじゃないかと思う。

そして、歩行練習も!!!

昨日、切腹みたいな事したばかりよ〜〜〜!!!

人間の体ってすごいと思います。

そして、この治療が、ここまで確立された歴史上の、開腹手術をした方々にも、すごいを送ります。

ここまで確立した治療があるということは、

それだけ多くの同じような患者がいたって事よね。

あ〜〜〜やるしかない。

やるっきゃない!!!!!

術後2日目

は、1日目とそんなに変わらない1日。

小さなことでも、新しい事をしないのは、頭は動かなくなっちゃうけど、精神的にはラク。

まだまだ、退院できる状態が想像できない日々。

痛みも1日目とそんなに変わらないような。。

確か、これくらいに、コップ3分の1程のジュースが出た。

もうこんなの飲めちゃうの?? っていうのが最初に思ったこと。

食道と十二指腸の継ぎ目からジュース出てこない? 

こわごわ飲んだのを覚えている。

漫画みたいに、コップを何回も口元に運んでは離す作業を、

一人きりで何回かやったような気がする。

噴水みたいに、内臓の間から噴き出るジュースの絵を頭に浮かばせながら、

術後はじめて、飲んだ。

美味しくはなかったけど、(私はジュースの好みがはっきりしている。)

なんか生きてるって感じした。

生きるってこういうことだぁ、ってジワ〜〜っと思った。

水が飲めるってすごい!!

生きてるわ、私。

体ってすごいわ。

物が食べられるってすごいことだわ。

生きるってすごいわ。

普通じゃないわ、これって。

特別な事だわ。

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